「恵」の障害者施設、全国約100カ所運営不能に 連座制適用へ

障がい者施設を撮影した写真

障害者グループホーム(GH)を運営する「恵」(本社・東京都港区)が障害福祉サービス報酬の不正請求や食材費の過大徴収をしていた問題を巡り、厚生労働省は、同社GHへの事業者指定取り消しの行政処分を受け、障害者総合支援法に基づく「連座制」を適用する方針を固めた。

愛知県と名古屋市は26日にも同社が運営する県内5カ所のGHの事業者指定を取り消す処分を出し、厚労省はその日に連座制を適用する見通し。

関係者への取材で判明した。

同社は全国12都県で約100カ所のGHを運営。

厚労省はこれまでの調査で不正が組織的に行われていたと判断した。

連座制が適用されれば、全国の他のGHも6年ごとの指定更新が認められず、施設運営は事実上できなくなる。

厚労省によると、同社のような規模で障害福祉サービス施設を運営する法人への連座制適用は例がないといい、最大で約2000人とされる利用者に影響が出る可能性がある。

事業者指定が取り消されるのは、愛知県幸田町▽名古屋市緑区▽同市北区▽同市守山区▽同市天白区--のGH。

関係者によると、同社はこの5カ所を含む複数のGHで勤務実態のない職員が働いているかのように装うなどして、自治体から受け取る報酬を不正に請求していた。

不正請求額は名古屋市内のGHだけでも約1億円に上るといい、特に悪質性の高かった5カ所について、愛知県と名古屋市は障害者総合支援法に基づき事業者指定を取り消す。

関係者によると、処分される5施設は、他の事業者に事業譲渡したり、利用者が転居したりする期間を考慮し、実際に指定取り消しになるのは数カ月先になるとみられ、連座制もその時点から適用される。

また、連座制が適用される他の県内施設では10月ごろから順次、指定更新を迎える。

同社を巡っては、利用者から実費を大きく上回る食材費を徴収しているとして、愛知県岡崎市が2022年に県に情報提供。

県は調査を始め、昨年5月から同社GHへの監査を実施していた。

県内にある26施設では、いずれも開設時から過大徴収を行っており、その額は計約2億1800万円に上る。

名古屋市などは「経済的虐待」と認定。

愛知県などはこうした調査の中で、障害福祉サービス報酬の不正請求も把握した。

同社は12年に設立され、18年に名古屋市でGHを開設したのを皮切りに事業規模を拡大。

同社ホームページによると、愛知をはじめ、千葉や埼玉、神奈川、福岡など計11県と東京都でGHを展開している。

昨年7月に本社を名古屋から東京に移転した。

参照元∶Yahoo!ニュース