公衆浴場の知られざる闇 不適切な性的行為で閉店に追い込まれた太陽ヘルスセンター 「公衆浴場法、条例」の“風紀” 正しい解釈は?自治体トップの反応は?
鹿児島市の太陽ヘルスセンターの閉店で明るみになった公衆浴場の知られざる闇。
サウナでの不適切な性的行為。
4月の放送後には「鹿児島だけの問題ではない」と全国から多くの声が寄せられた。
どうすれば防げるか?
今年3月末で閉店した鹿児島市の太陽ヘルスセンターは、不適切な性的な行為を行った客をブラックリストにまとめて入店禁止の措置を取っていた。
(太陽ヘルスセンター・元スタッフ)「迷惑行為という形でぼかしているがサウナの中で抱き合ったり、いかがわしい行為に及んだり。人数として把握できないぐらいですね」
全国から大きな反響があった公衆浴場の知られざる問題。どうすれば防げるのか。
公衆浴場の組合が動き出した。
一方、行政はどのようにサポートしてくれるのか?鹿児島市の下鶴市長に聞いた。
今年4月に放送した公衆浴場の知られざる闇。
不適切な性的な行為を取り上げた特集は、再生回数が85万回に上り「全国各地で同じような問題が起きている」と多くの声が寄せられた。
(ネット上の書き込み)「行きつけの銭湯で似たような場面に遭遇したことがある。もう勘弁してくれ!」
(ネット上の書き込み)「子どもが行為を見たらトラウマになる。やめて欲しい」
サウナで繰り返された不適切な性的行為鹿児島市の太陽ヘルスセンターで10年以上に渡って繰り返された問題行為。
男湯で利用者が抱き合ったり、それ以上の行為に及ぶなど後を絶たない。
客からクレームを受けるたびに警察に通報してきましたが、現行犯でなければ検挙は難しいようだ。
太陽ヘルスセンターはこの問題を1つの理由にあげ3月いっぱいで閉店した。
公衆浴場組合「営業妨害だ!LGBTを否定してはいない」鹿児島県公衆浴場組合の責任者公衆浴場の組合は訴える。
(鹿児島県公衆浴場業生活衛生同業組合・永用八郎 副理事長)「営業妨害ですよね。LGBTを否定しているわけではない。行為自体をされるのが困っているわけです」
長年に渡って鹿児島県内の一部の公衆浴場がこの問題に悩まされてきた実態を明かした。
放送後、全国の公衆浴場の組合の責任者にも話を聞いた。
(内田直之キャスター)「動画を見ての率直な感想はどういったものでしたか?」
(全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会・佐伯 雅斗 副理事長)「私が一番気になったのがそれを問題として扱えるか扱えないかということ。男女の卑猥な行為は問題だが、男と男はどういう行為か法律に明記されていないという発言があったと思う」
指摘したのが、公衆浴場を監督、指導する立場にある行政の発言内容だった。
昭和23年に制定された公衆浴場法公衆浴場に関する法律や条例には「風紀」という言葉がありますが、その解釈について、
鹿児島市の担当者は、(鹿児島市生活衛生課・萩原信一課長)「公衆浴場法、法律の中で男女の混浴の禁止を意味しています」
昭和23年にできた法律、それに基づく条例では今回のような迷惑行為は「風紀を乱すもの」と明確に位置付けられていない。
時代の変化にともない条例の「風紀」についての文言を改めてはどうか?そんな提案をすると、
鹿児島市の担当者(鹿児島市生活衛生課・萩原信一課長)「そこについては非常に難しい。国の方が別途法律で定めた場合は鹿児島市は必要な措置を考えなければならないと感じている」国が何らかの指針を示さない限り、条例の改正は難しいとの返答だった。
鹿児島市の下鶴市長にも今回の問題について聞いた。
(内田直之キャスター)「公衆浴場は鹿児島市にとっても重要な観光資源の1つ。市長はこの状況をどう受け止めますか?」
(鹿児島市・下鶴市長)「この状況については報道等を通じて見聞きしている所ですが、直接の相談は鹿児島市の方に寄せられていない所です」
(内田直之キャスター)「行政でバックアップできる事があるのか?できる可能性はあるのかどうか?どう考えますか?」
(鹿児島市・下鶴市長)「公衆浴場法における風紀に必要な措置とは主として男女の混浴の禁止を意味しており、条例においても当該行為を禁止する規定はない所です」
担当課と同じ見解を述べ、具体的な対策は示されなかった。
ただ、組合から要望があれば他都市の状況や地域の実情、社会情勢の変化に応じて検討するとした。
前回の放送を受けて、全国公衆浴場組合は厚生労働省の担当者とこの問題について意見を交わしたそうだ。
(全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会・佐伯 雅斗 副理事長)「鹿児島市や鹿児島県のこういう見解が出ていた。これは我々としては後ろ盾を失う。梯子を外されている。自治体のみなさんも男女間でなくても男性と男性、女性と女性。周りから見て不適切な行為は不適切行為として認識してもらいたい」厚労省にこう申し入れたそうです。
厚生労働省の担当者は「国から通知を出すまでもなく、性別に関わらず性的な行為は風紀を乱すもの。問題が起きているなら自治体はしっかり対応すべきだ」と答えた。
先月、県内でも公衆浴場の組合の総会で、サウナで繰り返される「不適切な性的行為」について話し合われた。
太陽ヘルスセンターが閉店に追い込まれた現状が報告され、情報を共有した。
鹿児島の公衆浴場組合のメンバー(組合員)「あまり独自で対策を行うとこの温泉うるさいなとなってしまう。組合で決まった貼り紙を作れば堂々と貼れるかなと思う」
組合員)「法的なもの。県や市の条例があればぜひお願いしたい。それがあれば私たちが上手く運用して広げていける」
様々な声があがるなか、条例の改正を求める声も聞かれた。
この後、開かれた懇親会には鹿児島市と県の担当者も出席した。
そんな中、問題行為がきっかけの1つで廃業に追い込まれ組合を退会した太陽ヘルスセンターの責任者が訪れた。
(太陽ヘルスセンター・種子島登会長)「今後、行政を通じて色んな改善がされるだろうと思います。行政も含めて考えてもらえればいいなと思う」
行政のサポートを求めた。
公衆浴所う組合の顧問を務める鹿児島市議さらに、組合の顧問を務める鹿児島市議もこう訴えた。
(鹿児島市議会・古江尚子市議)「きょうは鹿児島市や鹿児島県からもお見えです。一緒に考えながら抑止力になるような考えを持って、みなさんと一緒に取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いします」
誰もが安心して利用できる公衆浴場にするために。
行政と組合が一体となった取り組みが求められる。
取材した内田直之キャスター(内田直之キャスター)「前回の放送後、迷惑行為はかなり減っていたようです。しかし、今月に入って鹿児島市内の公衆浴場の男湯で4、5人が迷惑行為を行い、一般の利用客が巻き込まれ警察に通報する騒ぎがありました。現実に問題が起きています。一方、組合は早速ポスターの案を作りました。今後、各施設で貼り出すということです。行政は高騰する燃料費の支援など様々なサポートを行っていますが、この問題についてもしっかり向き合って欲しいと思います」
参照元∶Yahoo!ニュース