「紀州のドンファン」13億円以上の遺産 市に全て寄付とした「遺言書」は有効 「1億円くらい紙切れみたいなもんや」 生前語った男性は不審の死 殺人などの罪で起訴の55歳年下の元妻 裁判はまだ始まらず
「紀州のドン・ファン」と呼ばれ、不審な死を遂げた和歌山県の資産家の男性。
男性を殺害した罪に問われている元妻の裁判がいまだ始まらない中、21日午後2時から行われた裁判で、男性の巨額な遺産をめぐり遺族の訴えを退ける判決が言い渡された。
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)。
2018年に55歳年下の須藤早貴被告と結婚、金融業などを営み総資産は50億円ともいわれていた。
生前、取材に対し「1億円くらいは紙切れみたいなもんや、私にとっては」と語っていた野崎さんの遺産は、預貯金や有価証券などであわせて13億円以上とされ、他にも不動産や車などがある。
法律に基づくと、妻であった須藤被告がその4分の3を、きょうだいがその4分の1を受け取ることになるはずだった。
21日、遺族の訴えを退ける判決が出たのは、この13億円を超える財産をめぐる裁判だ。
野崎さんは、3年前、自宅で急性覚醒剤中毒という不審な死を遂げた。
野崎さんの死亡をめぐっては、元妻の須藤早貴被告(28)が覚醒剤を摂取させて殺害した殺人などの罪で起訴されているが、裁判開始の見通しは立っていない。
そんな中、野崎さんが遺した巨額の遺産の行方にも注目が集まっていた。
「個人の全財産を田辺市にキフする」野﨑さんが須藤被告と出会うよりも前に書いたとされる遺言書にはそう記されていた。
しかし、この遺言書は無効だと野崎さんの兄(86)たち親族4人は、裁判を起こした。
訴状によると、野崎さんは14億円あまりの遺産を全て田辺市に寄付するという遺言書を残していたが、親族は野崎さんが生前に書いたとされる遺言について、「動機が見当たらない」などとして、「無効」を訴えている。
親族は、筆跡は別人のものだとする「鑑定書」を和歌山地裁に提出した。
「鑑定書」では、「野崎」の「崎」について、遺言書では、極端に長く、画数も続け書きされているが、野崎さんが生前に書いた5つの『崎』と比較すると、形状や書き方が大きく異なり、これを同筆とみなすのは困難と指摘している。
一方、田辺市側は訴えの棄却を求めていて、田辺市は「野崎さんは生前に複数回にわたり、財産を市に寄付していた」と主張。
さらに、市は遺産を受け取る手続きにかかる費用としてこれまでにおよそ6700万円を支出しているという。
遺言書は本物なのか。
有効性を巡る注目の裁判で、親族の訴えは退けられ「個人の全財産を田辺市にキフする」と記された遺言書は有効とされた。
判決によると、原告側が提出した筆跡鑑定書には不合理な点があると指摘。
また、野崎さんは生前、地元・田辺市の発展を望む発言をしていたり、周囲にきょうだいとの関係が良くなく、財産を譲りたくないと話したりしていたことなどから、遺言書は野崎さんのものと見るほかないと判断した。
判決を受け、田辺市の真砂充敏市長は「遺言書が有効であるという本市の主張が認められたものと受け止めております。 本市といたしましては、引き続き適正な対応に努めてまいりたいと考えております」とコメントしている。
参照元∶Yahoo!ニュース