急増する偽ショッピングサイト「殺すぞ」「家に火つけるぞ」電話番号などが勝手に偽サイトに転載され脅迫 消費者教育の専門家もだまされた巧妙な手口とは

テレビ局のスタジオ

被害は詐欺だけにとどまらず、偽サイトに電話番号を無断で使われた人が「殺すぞ」などと脅迫を受ける事態にもなっている。

都内のステッカー業者に相次ぐ、身に覚えのない電話。

客「ちょっと問い合わせさせていただきたいんですけど」

ステッカー業者「商品、何ですかね?」

客「商品がドラム洗濯機です。入金はもうすでにしているんですよ」

ステッカー業者「購入されたサイトは、うちの住所を勝手に使っている詐欺サイトなんです。今、おたくさん詐欺に遭われたんです」

客「ということなんですね、あ~」

「洗濯機を購入したが商品が届かない」という電話を受けていた山下さん(仮名・50代)。

自宅を事務所にして車などに貼るカッティングステッカーを製作し、通販サイトで販売している。

喜入友浩キャスター「今、どういったことが起きているんでしょうか」

山下さん(仮名)「うちのショップの住所と電話(番号)、それを詐欺サイトの会社概要に無断で使用されて、『(商品を)買ったけど届かない』とか、じゃんじゃん電話が来て、ちょっと業務が止まるくらいの数が来ているので、そこが困っています」

山下さんがステッカーを販売している楽天市場。

その会社概要に記載している内容が、全く関係のない偽ショッピングサイトに無断転載されているといいう。

山下さん(仮名)「会社概要を見ると、うちの住所。ちなみにこのサイトは一番上に出てくる」

喜入友浩キャスター「欲しい商品名をGoogleで検索すると、(偽)サイトが一番上に出てくる」

4月中旬以降、偽サイトの運営者だと勘違いして「商品が届かない」などと訴える電話が500件以上かかってきているという。

なぜ、ここまで多くの電話が来るのか。

調べると、山下さんの電話番号などが転載された偽サイトが150以上あることがわかった。

こうした悪質なショッピングサイトは年々増加していて、2023年の1年間の通報件数は4万7000件を超えている。

喜入友浩キャスター「今回、取材で発見した偽サイトの共通点は主に3つです。▼商品名を検索したときにヒットしやすいよう、ジャンルを問わず数多くの商品を扱っているサイトであるということ。▼ほぼ全ての商品が値引きされていること。そして、楽天のホームページでも注意喚起がなされていますが、▼悪質なサイトのURLが、店名ではなくアルファベットをランダムに並べたものになっていることです」

取材中にも、安さに釣られ、商品を購入したという男性から支払い方法の問い合わせが…

山下さん(仮名)
「(ステッカー会社)楽天市場店です」

客「ここのサイトで直接頼むと、支払い方法はクレカもできるんですか?」

電話をしてきたのは、下着を注文したという男性。

詐欺とは気づいておらず、喜入キャスターが改めて説明すると…

喜入友浩キャスター「その男性(山下さん)は、ご自身が購入した商品を販売していません」

客「えっ、一切扱っていない…。メルカリより1万円くらい安いと思って見てたんですけど」

男性が注文した商品は1万2960円(税込)。

実は、この商品と全く同じものがメルカリで2万1600円(税込)で販売されていた。

写真や商品説明も全く同じ。

画像を転載して、金額だけ安くしていたものだった。

さらに、山下さんのもとには脅迫電話まで…

山下さん(仮名)「(電話相手が) フリマのサイトに出品しているんだけど、その画像を偽サイトが表示しているらしくて、『俺の写真を無断で使っているんだろ』と。なんかもう『ぶっ殺すぞ』とか『家に火をつけるぞ』とかの脅しが始まった」

非通知の脅迫電話が1時間に30件以上。

偽サイトには、自宅の住所も転載されているため、おびえる日々が続いている。

山下さん(仮名)「(偽サイトに載っている)住所が本当の住所で、(相手に)バレているので、本当に来られたらどうしようとか、非常に怖い思いをしました」

無断転載について楽天は、「専門部署による偽メールおよび偽サイト等に関するモニタリングを実施しており、摘発や偽サイトのURLのブロックに向けた働きかけを継続的に行っています」としている。

またメルカリは、無断転載の事実は確認しているとした上で、「偽ショッピングサイトでお客さまが被害に遭わないよう注意喚起を実施している」としている。

取材を進めると、誰もが被害者になりうる実態も明らかになってきた。

日本消費者教育学会の大藪千穂会長は、偽サイトの危険性などを学生に教育している専門家だ。

日本消費者教育学会 大藪千穂会長は、「(学生に)『値段が異様に安いところは絶対にやめなさい』というのは言っていたし、まさに言っていたことに私が引っかかっているということなんですけど」

2024年2月、ドイツのブランドの靴をネット通販で購入したという大藪さん。

しかし、そのサイトが偽物だった。

日本消費者教育学会 大藪千穂会長「カード会社から、この金額落ちましたよと知らせてきて(明細を)見たけども、全然知らない中国のサイトの名前だったので、こんな買い物してないなと思って」

大藪さんのケースでは、偽サイトのURLは、ブランド名に「japan」がついたもので、見分けがつかない巧妙なものだった。

日本消費者教育学会 大藪千穂会長「元々ドイツ製というのは知っていたので、そこ(偽サイト)が日本のサイトなのかなと。それは本当に信じてしまいましたね」

大藪さんは被害にあって改めて、「消費者だけの対策では、偽サイトによる詐欺被害は減らない」と実感したという。

日本消費者教育学会 大藪千穂会長「誰が騙されたっておかしくないよっていうのは言いたいと思う。(対策は)限界があるなと思います。なので、もちろん消費者はそういったことがあるという情報力を持って、偽物があるんだよということは知らないといけないとは思いますけど、悪い事業者を排除していくような国などの施策は絶対必要」

藤森祥平キャスター∶実際に偽ショッピングサイトに「なぜ別の会社の住所や電話番号を無断転載しているのか」とメールで問い合わせましたが、今のところ返事・回答はありません。

小川彩佳キャスター∶普段から偽サイトの危険性を伝えている専門家でも騙されてしまうくらい、どんどん巧妙化しているわけです。

トラウデン直美さん∶偽サイトだと分かる自信がないくらい、本当に巧妙化していると思います。

賢くより良い条件で買い物しようと見比べている人ほど、騙されてしまうという状況になっているのではないだろうか。

株式会社QuizKnock CEO 伊沢拓司さん∶
イタチごっこですから、「もうこれなら大丈夫」と信じられるものはないですよね。被害者になったときに加害者にならないよう、冷静さを持つということは気を付けたいです。誹謗中傷などは絶対にやめてほしいですね。技術力も大事ですが、人間というのはちょっと焦ったときや欲が出たときが一番我を失うタイミングなので、「自分は大丈夫」と思っている人でも、前のめりになっている状況のときに、一回引き返すという心がけもすごく大事だと思います。気をつけていきたいです。

小川キャスター∶気軽さが魅力のネットショッピングですが、慎重であるということが必要になってきます。詐欺の報告があるURLを教えてくれるサイトなどもあるということですから、活用していただければと思います。

参照元:Yahoo!ニュース