佐渡島の金山に「情報照会」勧告、地元から困惑の声も 「今回登録になると思っていた」
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に日本が推薦している「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)について、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)は、4段階のうち上から2番目の「情報照会」を勧告した。
文化庁が6日、発表した。
ただちに「登録」の判断は出ずに持ち越しとなったが、7月に開かれるユネスコ世界遺産委員会で登録が決まる可能性はある。
同委員会は7月21日からインドで開かれ、勧告通り決議されれば、登録は来年以降になるが、文化庁は「世界遺産委員会で『記載』(登録)決議とすべく対応」するとしている。
文化庁によると、昨年の同委員会では「情報照会」勧告だった文化遺産6件は、すべて登録が決議された。
また、「佐渡島の金山」の世界遺産登録には、韓国が「戦時中の強制労働の被害の現場だ」と反発してきた。
韓国と日本はともに今回、21か国で構成される世界遺産委員会の委員国を務めることになっており、対応が注目される。
「佐渡島の金山」は、島内最古の砂金山「西三川砂金山」と、16世紀末から採掘が本格化した「相川鶴子(つるし)金銀山」で構成されている。
近世の佐渡では、鉱石の採掘から小判製造までの各工程を手作業で行った。
海外の金生産地の多くが機械化していく中で、坑道などの構造を工夫して効率的に純度の高い金を生産する独自の技術を確立し、17世紀前半には世界の金生産の約1割を占めた。
日本政府は手工業で世界最大級の産出量を誇った金生産の歴史を伝える遺産だとアピールした。
これに対し、イコモスは勧告で、構成している地区のうち、明治以降の要素が多い一部地区を除外することや、遺産を保護するため周囲に設ける「緩衝地帯」の範囲の見直しなどを求めた。
地元の佐渡市では、登録を目指した取り組みが30年にわたり続けられてきた。
勧告が「情報照会」となったことには、困惑の声も聞かれる。
観光ガイド団体「佐渡相川ふれあいガイド」会長の斎藤本恭さん(72)は今回の勧告が「登録」になると思っていた。
それだけに、「(イコモスは)昨年の現地調査でしっかり見ていってくれたはず」と、予想外の結果に首をかしげる。
ただ、「希望がある内容だと前向きに判断したい」とも話し、来月の世界遺産委員会で登録が認められることに期待を寄せた。
参照元∶Yahoo!ニュース