警察庁長官狙撃事件 「自白」の受刑者死亡 特命班捜査も立件至らず
1995年3月に起きた国松孝次・警察庁長官(当時)狙撃事件について、警視庁の捜査対象になり、銃撃を「自白」していた中村泰(ひろし)受刑者(94)=別の事件で服役中=が、22日に東京都昭島市の医療刑務所「東日本成人矯正医療センター」で死亡したことが、関係者への取材で分かった。
死因は誤嚥(ごえん)性肺炎だった。
長官狙撃事件は、オウム真理教の信者による地下鉄サリン事件から10日後の95年3月30日朝に発生。
狙撃犯は20メートル以上離れた場所から4発を発射し、国松長官の背中や大腿(だいたい)部などに3発を命中させ、現場から自転車で逃走した。
長官は重篤な状態となったが、その後職務に復帰した。
警視庁は公安部主体の捜査本部を設置し、教団による組織的テロとみて捜査を進めた。
これに対し、刑事部捜査1課を中心とした特命捜査班は、2001~02年に大阪市と名古屋市で発生した現金輸送車襲撃事件で逮捕され、強盗殺人未遂罪で無期懲役が確定した中村受刑者の関与を疑い、真犯人とみて捜査していた。
中村受刑者は銃撃を「自白」したが、立件には至らず、10年3月30日に当時の殺人未遂罪の公訴時効(15年)を迎えた。
毎日新聞は23年3月、時効前に特命班から参考人として事情聴取された元自衛官の男性(50)が「事件当日、中村受刑者の逃走を手伝った」とする新証言を報道した。
関係者によると、中村受刑者は数年前からパーキンソン病を患い、21年6月から誤嚥性肺炎の発症により、医療刑務所に収容されていた。
22年3月下旬、中村受刑者と面会した弟によると、面会室に車いすで現れ、耳が遠く、ほとんど会話ができない状態だったという。
参照元:Yahoo!ニュース