イラン大統領の墜落死、革命体制に変更なし 外相代行は米国と核交渉担当してきた外務次官
イラン国営テレビは20日、エブラヒム・ライシ大統領(63)やホセイン・アブドラヒアン外相らがヘリコプターの墜落事故で死亡したと報じた。
最高指導者のアリ・ハメネイ師(84)は5日間の服喪期間を設け、モハンマド・モフベル第1副大統領(68)を大統領代行として行政の長に任命した。
50日以内に大統領選が行われる。
ライシ師は19日、イラン北西部の東アゼルバイジャン州でダムの供用開始式典に参加した後、随行員らとヘリ3機に分乗して同州の州都タブリーズに向かう途中で事故にあった。
国営テレビは、山中に墜落したヘリの残骸の映像を伝えた。
現場付近が悪天候で、濃霧が立ちこめていたことが事故原因だったとみられている。
イラン憲法は、大統領が死亡した場合、第1副大統領が最高指導者の同意を得て職務を代行すると規定している。
大統領代行と国会議長、司法府長官の3者で構成する評議会が選挙を準備し、50日以内に新大統領が選ばれる。
モフベル氏は20日、死亡したアブドラヒアン外相の代行として、米国との核交渉にあたってきたアリ・バゲリ外務次官を任命した。
イランでは1979年のイスラム革命以降、最高指導者が国家方針の最終決定権を握っている。
大統領が交代しても、革命体制が変わることはない。
2021年8月に就任した保守強硬派のライシ師は、核開発疑惑をめぐって米国と対立。
パレスチナ自治区ガザの戦闘でも、反米・反イスラエル闘争を続けるイスラム主義組織ハマスの支援を明確にしてきた。
イラン政界は現在、保守強硬派が主導している。
モフベル氏もハメネイ師に近い保守強硬派で、次期大統領選は保守強硬派の候補を軸とした選挙戦になるとみられる。
参照元∶Yahoo!ニュース