中国、戻らぬ海外客 日本人はビザが足かせに

ビザを取得している人の写真

海外から中国への旅行客数が伸び悩んでいる。

中国メディアによると、2023年の外国人入国者は、コロナ禍前の19年の半分以下にとどまった。

日本への外国人旅行客はほぼ戻っており、中国の不振ぶりが際立っている。

特にビザの取得が20年以降必要になった日本人は「ほぼ行かなくなった」(日系大手旅行会社の関係者)という。

中国国家移民管理局によると、渡航前のPCR検査などの入国規制が撤廃された23年以降、訪中旅行客数は徐々に回復してきた。

政府はビザ免除の対象国を増やし、同年12月にはフランスやドイツを追加。

政府系研究機関は、24年の訪中客がコロナ禍前の半数近くに戻ると見込む。

ただ、業界では需要の回復を「楽観できない」といった見方が根強い。

日本人はかつて訪中外国人の1割近くを占めていたが、ビザがネックとなり、JTBや日本旅行は中国のパッケージツアー販売を中止したままだ。

改正反スパイ法が施行され、外国人の拘束が相次いだことを受け、中国への渡航を控える動きも広がった。

野村ホールディングスは、23年10~12月期に日米欧から中国を訪れた旅行客が4年前の5%以下にとどまったと分析。

その背景には「地政学的な緊張がある」と指摘した。

中国の観光ビザの取得には、渡航者本人が同国の在外公館などに足を運ぶ必要がある。

中国を発着する国際線の便数も減ったまま。

先の日系企業関係者は「中国は近くて遠い国に戻った」と嘆き、「魅力的な観光地も多く、本当はすぐにでもツアーを再開させたい」と肩をすくめた。 

参照元∶Yahoo!ニュース