トラック運転手、残業規制でも「荷待ち時間変わらない」「荷主の立場強い」改善申し出困難

長時間労働を是正するため、4月からトラックやバスの運転手、建設作業員らの残業規制が強化された。

厳しい労働環境の中、社会を支えてきた担い手たち。

全職業と比べた大型トラック運転手の労働環境 「4月に入っても、荷待ちの時間は変わらないねえ……」。

13日朝、東京都港区の路上に大型トラックを止めた運転手の男性(51)はため息をついた。

建設資材を近くの建設現場に降ろすために待つ「荷待ち」。

待機してから既に45分が経過したが、荷主からの連絡はない。

電話で呼ばれるまで、狭い車内でスマートフォンを見るなどして時間をつぶす。

男性は普段、群馬県桐生市の営業所を午前4時に出て、首都圏の工場などに建設資材や鉄鋼部品などを運送している。

運転時間より荷待ちのほうが長い日もあり、4月になってからも、1か所で1時間近く待たされることがざらにあるという。

帰宅が夜になることもあって、「年齢的に疲れがとれにくくなった」と話す。

若い頃は、北は東北、南は九州まで各地を回った。

「節約のために高速道路は使うな」「休憩しないですぐに届けろ」。

荷主の理不尽な指示に、睡眠を取れずハンドルを握りながら「このまま寝たら楽になる」と思ったことが幾度もある。

「荷主の立場が強い状況は今も昔も変わらない」という男性。

「運転手の働く環境が改善されなければ、将来、なり手がいなくなってしまう」と案じる。

働き方改革関連法が2019年4月に施行され、それまでは上限のなかった残業が最大でも年720時間までとなった。

建設作業員や運転手らについては「国民生活への影響が大きい」として猶予されていたが、今月から適用され、建設作業員は年720時間、運転手は年960時間が残業の上限とされた。

トラック運転手にとって長時間労働の一因となっているのが、荷待ちや、荷降ろしなどの「荷役」だ。

国土交通省の21年の調査によると、運行1回あたり平均で計約3時間に及ぶ。

ただ、運転手側はどんなに長く待たされても、仕事を失うことを恐れ、荷主に改善を申し出ることは難しい。

参照元∶Yahoo!ニュース