ゼロゼロ融資終了、マイナス金利解除で中小企業の資金繰り悪化懸念

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日本銀行がマイナス金利政策を解除したことで、企業の資金調達環境が大きく変わりつつある。

特に新型コロナウイルス禍で実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた中小企業にとっては重荷となる。

金利が本格的に復活する前に、自力で稼ぐビジネスモデルに転換しないと、資金繰りに窮する可能性もある。

東京商工リサーチの8日の発表によると、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は令和5年度に622件と年度ベースでは過去最多を記録。飲食や建設関連の倒産が目立った。

ゼロゼロ融資は、令和2年3月に始まった。

利子は国が都道府県を通じて3年間負担し、返済が滞ると公的機関の信用保証協会が肩代わりする。

民間と政府系金融機関で計約245万件、約43兆円の融資が行われた。

その返済は今月に入り最後のピークを迎えた。

政府は返済負担軽減のための支援策を6月末で終了し、7月以降は経営改善に重点を置いた支援に戻す。

ゼロゼロ融資を利用する企業はコロナ禍に耐えた一方、元本払いと利払いの負担が重くのしかかる。

そこへ追い打ちをかけるのが、日銀の政策転換だ。先行きの政策金利について、植田和男総裁は「急激な上昇は避けられる」と説明する。

だが、3月の企業短期経済観測調査(短観)では、3カ月後の借入金利水準について、多くの企業が上昇を見込んでいた。

「取引先の中小企業では金利上昇が不安要因となり、先々の投資意欲は下がっている」(九州地方の金融業)。

内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査でも、中小企業の資金繰り悪化が景気を下押しする懸念が挙がった。

参照元∶Yahoo!ニュース