返還の琉球国王肖像画、謎多く 沖縄戦不参加の米軍人宅で発見 屋根裏から、FBI「略奪品と確認」

首里城を撮影している写真

太平洋戦争末期の沖縄戦で失われたとみられていた琉球国王の肖像画「御後絵」を含む美術品が米国で発見され、3月に沖縄県に返還された。

返還に協力した米連邦捜査局(FBI)は「(戦時)略奪品と確認した」とする一方、見つかった家の住人だった退役軍人に沖縄戦の従軍歴がないなど、流出した経緯には謎も多い。

御後絵は歴代国王の死去後に制作され、琉球王国を代表する文化遺産の一つ。

周囲の人物より王の姿をひときわ大きく描くことで権威が誇示されている。

これまでモノクロ写真しか残っておらず、正確な色調は分かっていなかった。

今回返還されたのは御後絵6点のほか、陶磁器や手書きの地図など計22点。

うち第13代「尚敬王」(在位1713~1751年)の御後絵は縦横150センチ超で、王の赤い衣服や金色の背景が鮮明に残っていた。

FBIのウェブサイトによると、美術品はマサチューセッツ州の退役軍人宅の屋根裏で、遺品整理をしていた家族が発見。

太平洋戦争末期に沖縄で収集されたことを記した手紙が添えられていた。

ただ、手紙に署名はなく、退役軍人は第2次世界大戦に従軍していたものの、沖縄を含む太平洋地域には派遣されていなかった。

家族の通報を受けて昨年1月、FBIは捜査を開始。沖縄県への照会で、2001年に県教育委員会がFBIの盗難美術品ファイルに登録した品が含まれていることが判明した。

美術品が退役軍人の手に渡った経緯は不明という。

県教委が登録した盗難美術品ファイルには、今回返還された品以外にも、王冠や王が儀礼の際に着る「皮弁服」、他の御後絵など11点がある。

しかし、県によると持ち去った人物と現在の所有者は違う可能性が高く、発見に向けた手掛かりはほとんどないのが実情という。

参照元:Yahoo!ニュース