「家計貯蓄活用論」欧州で浮上、投資促進効果に疑問も

米国や中国に負けない経済力を欧州が得るため積極的な投資を促したいと願う政治家たちは、とっておきの「秘密兵器」があると考えている。

それは手つかずになったままの家計貯蓄だ。

イタリアは個人投資家向けに国債を販売しているし、フランスでは全欧州的な貯蓄商品が話題になり、英国は国内株投資に税額控除を導入。

共通するのは、脱炭素から防衛費増額までさまざまな目標の達成に向けた十分な資金源として貯蓄が存在するという見方だ。

政治家らは、こうした資金によって米国や中国との成長格差や生産性格差も埋められると期待する。

しかし貯蓄を投資に振り向けることは、当の預金者に失望をもたらす恐れがあるだけでなく、欧州の経済モデルにおいて投資が消極的な原因となっている根深い欠点を解決する手段にはならないとの声も出ている。

西イングランド大学のダニエラ・ガボール教授は「非常に複雑な問題に対して実に安直な解決策を持ち出すようなものだ」と冷ややかだ。

参照元∶REUTERS(ロイター)